寺島笑花、三沢敦
390年の歴史を誇る長崎の秋の風物詩「長崎くんちの奉納踊」が、3年連続で中止になった。毎年10月、長崎市の諏訪神社で20万人の観客に披露される伝統行事だが、今年は踊りの中止に加え、例大祭も異例の非公開に。神社を巡っては訴訟が相次ぐ事態になっているが、きっかけは宮司によるセクハラ疑惑だった。(寺島笑花、三沢敦)
「諸般の事情があり・・・」 今年の例大祭は非公開
長崎くんちの中日の8日に執り行われる主要神事・例大祭。例年、報道陣に公開されているが、今年は非公開で行われた。「諸般の事情があり、祭典に出席した姿が表に出た場合に不都合が発生する人がいる」。権禰宜(ごんねぎ)の一人は報道陣にそう説明した。
長崎くんちは1634(寛永11)年、遊女の高尾と音羽が神前に小舞を奉納したことに始まるとされる。長崎くんちでは、旧長崎市街の各町(踊町・おどりちょう)の氏子たちが7年に1度回ってくる当番の年に「龍踊(じゃおどり)」や「鯨の潮吹き」「コッコデショ」など各町に伝わる演(だ)し物を奉納。6月から稽古に入る。交易のあったオランダや中国などの影響を色濃く残し、1979年に「長崎くんちの奉納踊」として国の重要無形民俗文化財に指定された。
そんな奉納踊の3年連続中止が決まったのは、稽古始めを1カ月後に控えた4月末。氏子代表らが会見で中止の理由の一つとしてあげたのが、宮司によるセクハラ疑惑だった。
来年のくんち、どうなる?
神社の神事を取り仕切る宮司のセクハラ疑惑をきっかけに、伝統の奉納踊を担う地域の氏子たちは、宮司の辞任を求めて宮司側と対立しています。来年の奉納踊は行われるのでしょうか。記事後半で紹介します。
「私はたった一言『すみませんでした』という言葉が欲しかっただけです。お金なんて必要ありません。その言葉をこの数カ月待っていました」。1月の提訴に先立ち、女性の代理人弁護士が開いた記者会見。女性はこう記したメモを寄せた。
宮司に慰謝料1万円の支払い…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル